管理人のきまぐれブログ


それほど遠くない昔のこと、
北前船の往来で町は殷賑を極めておりました。
陸上交通の主役をトラックが占めるようになる前、
ついこの間まで港には、
威勢のいい掛け声が飛び交い、
狭い水道は出船入船で賑わっておりました。
いつしか町から喧騒が消え、
時が止まったかのような静寂の訪れ。
町は前と何ら変わらぬ、瀬戸内の穏やかな陽射しの中にあり、
狭い水道沿いには家々の庇が慎ましく くっつきあって
東西に長く延びております。

春は桜、夏は花火、秋は菊、
そして冬は美しい霜枯れの町。
朝な夕な四方から鳴り響く寺の鐘。
住み人達は、あの世とこの世を自在に往来するかのように、
寺社や地蔵に花を手向けては手を合わす。
海の幸に恵まれ、日々の食卓には獲れたての小魚が並び、
余りの恩恵に預かる路地裏の犬猫たち。
かってどこにでもあった人と人のふれあい、
かってどこにでもあったはずの風景がここにあります。
郷愁と詩情溢れる町 
尾道

昔日の栄華の跡を多く残したまま、時が止まったかのように
静かなたたずまいが海岸沿いに、尾の如く長く繋がっております。
心のふるさとを再訪するような懐かしさや、安心感、安らぎが
ここにはあります。